最近は住宅ローンの金利競争が激化してきて、借り換えを検討している人も増えてきました。
ただ、住宅ローンの借り換えでお得になることはわかっても「なにか落とし穴はないか」と心配になる気持ちもわかります。
本記事では、住宅ローンを借り換えるメリット・デメリットや、借り換えに最適なタイミングを詳しく解説します。本記事を読めば、借り換え先を選ぶポイントがわかり、自分に最適な住宅ローンの選択が可能です。住宅ローンの借り換えを考えている方は、本記事の内容を参考に賢く借り換えを進めましょう。
記事を書いている人
- 銀行で住宅ローン業務を担当
- 不動産会社で7年間の営業経験
- マイホームの購入を検討するお客様を1,000名以上担当
- 宅地建物取引士取得
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住宅ローンを借り換えるメリット
住宅ローンを借り換えるメリットには、いくつかのポイントがあります。住宅ローンを借り換える主なメリットは、以下のとおりです。
- 月々の返済額が減少する
- 総返済額を削減できる
- 金利タイプを変更できる
- 団体信用生命保険の見直しができる
- リフォーム費用を追加できる
住宅ローンを借り換えるメリットが分かると、借り換えへの不安が減ります。
月々の返済額が減少する
住宅ローンを借り換えると、月々の返済額を減らすことが可能です。金利が低いローンに乗り換えると、毎月の支払い額を減らせるため、家計の負担が軽減します。
金利の低い時期に固定金利から変動金利に変更することで、金利が低い間は支払いが減少します。金利が1%低くなると、毎月の返済額が数千円から数万円も減るケースもあるので、家計の安定につながるのがポイントです。
返済期間を長く設定することも、月々の負担を軽減する1つの方法です。返済期間を長く設定すると、毎月の支出が減少します。住宅ローンの借り換えは、生活の質を向上させるための有効な手段と言えます。
総返済額を削減できる
住宅ローンの借り換えによって、総返済額を大幅に減らせるのも大きなメリットです。同じ返済期間でも、金利の違いが総返済額に大きく影響します。総返済額を削減する具体例は、以下のとおりです。
- 変動金利から固定金利への変更
- 金利の低いローンに借り換え
- 返済期間の短縮
- 一部繰上返済の併用
住宅ローンの金利が低くなれば、最終的に支払う金額が、数十万円から数百万円も減る可能性があります。借り換えや繰上返済をうまく組み合わせると、住宅ローンの総返済額を大幅に削減することが可能です。
金利タイプを変更できる
住宅ローンの借り換えを行うと、固定金利から変動金利、または変動金利から固定金利に変更が可能です。市場金利が低下した場合には、固定金利から変動金利に変更することで、月々の返済額を減らせます。
反対に、将来的な金利上昇を懸念する場合には、変動金利から固定金利への変更がおすすめです。将来の金利上昇リスクを抑えられ、安心感が得られます。
金利タイプの変更によって、返済計画の見直しも容易になります。ライフステージや経済状況に合わせた最適な返済方法が選べ、家計管理に役立ちます。市場の金利動向に応じた、最適な金利タイプを選択しましょう。
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団体信用生命保険の見直しができる
住宅ローンの借り換えの際に、団体信用生命保険の内容を見直すと、保険料を減らせ、保障内容を充実させられます。団体信用生命保険を見直す際に考慮する点は、以下のとおりです。
- 保険料のコスト削減
- 新たな保障内容の選択
- 家族構成の変化に応じた保障の再設定
団体信用生命保険は、死亡時や高度障害時に住宅ローンが完済される保障内容が一般的ですが、最近はがんと診断された時点で住宅ローンが完済されるガン団信も人気があります。住宅ローンの借り換えとあわせて自分にピッタリの保障内容を検討してみましょう。
リフォーム費用を追加できる
住宅ローンの借り換えと同時に、リフォーム費用を追加で借りることが可能です。住宅ローンの借り換えの際に、リフォームローンを組むと、老朽化した住宅の修繕や改築がしやすくなります。住宅の価値を維持しながら、快適な住環境を実現できます。
住宅ローンの借り換えは、生活の質を向上させるための有効な手段です。住宅ローンの乗り換えとリフォームを同時に行うと、手続きが一度で済むので手間が省け、効率的な資金運用が可能になります。
住宅ローンを借り換えるデメリット
住宅ローンを借り換えるデメリットは、以下のとおりです。
- 手数料と諸費用がかかる
- 再度審査が必要になる
- 金利変動のリスクがある
住宅ローンの借り換えるデメリットを知ると、住宅ローンの理解が深まります。
手数料と諸費用がかかる
住宅ローンの乗り換えにかかる手数料と諸費用は、以下のとおりです。
項目 | 金額の目安 | 内容 |
---|---|---|
事務手数料 | 3万円〜借入額の2.2% | 借り換え先の金融機関へ支払う費用 |
保証料 | 0円〜借入額の2% | 借り換え先の保証会社へ支払う費用 |
全額返済の手数料 | 0円〜5万円 | 住宅ローン残債をすべて返済するときの手数料 |
印紙税 | 0円〜6万円 | 住宅ローン契約書に貼付する印紙税(借入金額によって金額は変わる) |
抵当権抹消登記 | 約5万円 | 元の金融機関の抵当権を外すための登記※ |
抵当権設定登記 | 約10万円 | 借り換え先の金融機関で抵当権を設定するための登記※ |
借入金額3000万円の場合でおおよそ30万円〜80万円の諸費用がかかります。
総額を把握することで、借り換えによるメリットが本当に得られるかの計算が可能です。住宅ローンの借り換えによって月々の返済額が減少しても、手数料と諸費用が大きければ、総返済額が増える場合があります。
手数料と諸費用をしっかりと理解し、総合的な計算を行うと、住宅ローンの借り換えの成功につながります。適切な情報をもとに判断できると、借り換えの際のリスクを最小限に抑えることが可能です。
再度審査が必要
住宅ローンの借り換えを行う場合、申込人の信用情報や返済能力を確認するため、新しい金融機関での審査が必要です。借り換え先の金融機関の審査基準に適合する必要があり、審査は金融機関ごとに基準が異なります。
自営業者やフリーランスの場合、特に収入の安定性が厳しく審査されます。審査をクリアしないと、住宅ローンの借り換えができません。再度の審査には時間と手間がかかり、追加の種類や証明書類の提出が求められることもあります。
金利変動リスクがある
借り換えによって金利タイプを変更する場合、金利変動リスクの考慮が必要です。金利の変動で、返済額が増減する可能性があるためです。将来の金利動向を予測するのは非常に難しいため、金利が変動するタイミングを正確に知ることはできません。
変動金利型の住宅ローンを選んだ場合、金利が上昇すると毎月の返済額が高くなる可能性があります。一方で、固定金利型を選ぶと金利変動リスクを避けられますが、金利が高めに設定される傾向があります。
金利変動リスクを少しでも避けたいなら、固定金利への変更がおすすめです。住宅ローンの借り換え時には、金利タイプを慎重に選びましょう。
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住宅ローンを借り換える最適なタイミング
住宅ローンを借り換える最適なタイミングは、以下の3つです。
- 金利差が0.3%以上
- 返済期間が10年以上
- 残債が1,000万円以上
住宅ローンを借り換える最適なタイミングを知っておくと、家計の安定につながります。
金利差が0.3%以上
現在の住宅ローンの金利と借り換え先の金利の差が0.3%以上ある場合、住宅ローンの借り換えによるメリットが出る可能性があります。借り換えにより月々の返済額が大幅に減少し、総返済額も大幅に削減できるため、長期的な負担の軽減が可能です。
金利タイプの見直しも、有利に働く場合があります。固定金利か変動金利か、金利動向に合わせて選択しましょう。より金利を下げることが可能です。
金利差が0.3%以上ある場合、借り換えを検討する価値は十分にあります。返済額の削減や資金計画の見直しが容易になるため、家計管理を楽にすることが可能です。
返済期間が10年以上
返済期間が10年以上残っている住宅ローンの借り換えはおすすめです。金利が低くなると、金利負担も大幅に削減できるため、総返済額を節約できる効果があります。長期間にわたって返済を続ける場合、月々の返済額が減少する可能性が高いため、家計の負担軽減が可能です。
現在の金利よりも低い金利で借り換えた場合、毎月の返済額が少なくなるため、生活費や貯蓄に充てる余裕が増えます。借り換えによって返済期間を見直すと、家計全体の見通しが立てやすくなり、将来の資金計画を立てる際にも安心感が得られます。
返済額の減少による家計の負担軽減や、金利負担の削減は大きなメリットです。返済期間が10年以上残っている場合、住宅ローンの借り換えの効果がより顕著に現れます。
残債が1,000万円以上
残債が1,000万円以上の場合、住宅ローンの借り換えを検討する価値があります。残債が多いほど、借り換えによる金利差の影響が大きくなり、総返済額の削減効果が高まるためです。残債が大きければ大きいほど、金利のわずかな差でも総返済額に与える影響が大きく、将来的な負担の軽減が期待できます。
1.0%の金利差がある場合、残債が1,000万円以上であれば年間の利息を大幅に減らすことが可能です。手数料や諸費用が発生したとしても、残債が多いと相対的に負担が小さく感じます。総合的に見て、借り換えがより有利になるケースが多いです。
残債が多いほど、借り換え先の選択肢が広がります。複数の金融機関で有利な条件を見つけやすく、より良い条件での借り換えが可能です。住宅ローンの借り換えを検討する際には、残債も考慮しましょう。
借り換えの手続きと流れ
住宅ローンの借り換えのステップは、以下の4つです。
- 仮審査の申込み
- 本審査の申込み
- 完済手続き
- 契約手続き
- 登記手続きと融資実行
住宅ローンの借り換えをスムーズに進めるには、手続きの流れをしっかり理解することが大切です。
仮審査の申込み
仮審査の申込みは、必要書類の準備が重要です。金融機関が申込み者の信用力や返済能力を確認するため、書類が必要になります。仮審査の申し込みで必要な書類は、以下のとおりです。
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- 収入証明書(給与明細、源泉徴収票など)
- 物件資料(登記簿謄本など)
以上の書類が準備できたら、借り換え先の金融機関に申込みを行います。申込みフォームに必要事項を記入し、提出書類を送付、またはオンラインでアップロードしましょう。
本審査の申込み
本審査の申込みは、仮審査を通過した後に行います。本審査では、本人確認書類や収入証明書、物件の詳細情報などの書類が必要です。書類をしっかり準備することで、スムーズな審査ができます。
借り換え先の金融機関に対して、申込みを行います。申込みフォームに必要事項を正確に記入し、提出しましょう。書類を提出した段階で、金融機関による詳細な審査が始まります。
審査結果が出るまでの期間は、通常数週間かかりますが、金融機関によって異なるので注意してください。審査の過程で追加書類が求められた場合は、迅速に対応するのが審査通過の鍵です。
完済手続き
住宅ローンの本審査が完了したら、現在借入をしている住宅ローンの完済手続きを進めます。
金融機関に「全額完済したい」と伝えれば、具体的な手続きを教えてくれます。
この段階では完済する意思表示を伝えるだけで、実際に完済するのは新しい住宅ローンの融資が実行されるタイミングになります。
あわせて住宅ローンの完済にかかわる費用についても確認をしておきましょう。
契約手続き
住宅ローンの借り換えを進める際は、新たに住宅ローンの契約手続きが必要です。最近はネットで完結するタイプも多いですが、金融機関によっては契約のために来店が必要になることもあります。
金融機関に来店が必要な場合は、契約書類の説明や署名捺印で約1〜2時間かかることもあります。時間が取れなくてなかなか来店できないとならないように、早めに日程などを調整しておきましょう。
登記手続きと融資実行
住宅ローンの契約が完了したら、登記手続きのために司法書士とやり取りをしていきます。
司法書士は一般的には銀行側で手配してくれます。
登記手続きには本人確認のために司法書士と面談することがありますので、日程調整を早めにしておきましょう。
融資日になったら新しく住宅ローンが融資されるので、現在の住宅ローンを完済し手続き完了です。
最後に登記書類のやり取りがありますが、本人のみと書類の授受をするのか司法書士と直接渡してくれるのかは金融機関によります。こちらも事前に手続き方法については確認しておきましょう。
住宅ローンの借り換え先を選ぶポイント
住宅ローンの借り換え先を選ぶポイントは、以下のとおりです。
- 金利の比較
- 諸費用の比較
- 団信の比較
以上のポイントを押さえて借り換え先を選ぶと、よりお得で安心な住宅ローンの借り換えができます。
金利の比較
金利の比較は、住宅ローンの借り換えを検討する際に一番重要なポイントです。金利の比較をする際のポイントは、以下のとおりです。
- 変動金利と固定金利の違いを理解する
- 金利の低さだけでなく、全体の返済額も考慮する
- 市場動向や経済情勢をチェックする
- 各金融機関のキャンペーンを確認する
低い金利の住宅ローンに借り換えができると、毎月の返済額が減少し、総返済額の削減が期待できます。
» フラット35の借り換えのメリット、デメリットを解説!
諸費用の比較
住宅ローンの借り換えには手数料などの諸費用がかかります。一般的には借入金額の2.2%が諸費用の目安です。
住宅ローンを3,000万円借り換えると諸費用は66万円かかります。
ただ、金融機関によっては諸費用が数万円しかかからないところもあるので、金利だけでなく諸費用も含めて総額の安い住宅ローンを選ぶようにしましょう。
団信の比較
住宅ローンを借りると団体信用生命保険(団信)への加入が原則必要です。通常は死亡や高度障害になったときに住宅ローンを保険で完済する内容ですが、最近はガンと診断されるだけで住宅ローンが完済されるガン団信も人気があります。
提供している団信のプランは金融機関によって異なるので、自分に向いている団信プランを取り扱っているのか確認をしてみましょう。
まとめ
住宅ローンの借り換えは、メリットだけではなくデメリットも伴いますが、賢く利用すれば大きな節約が可能です。特に金利差が0.3%以上で、返済期間が10年以上残っている場合、借り換えを検討する価値があります。手数料や諸費用、再審査が必要なことを考慮した上で、総合的に判断しましょう。
借り換え先を選ぶ際は、金利や諸費用、団信の比較をするのが成功の鍵です。適切なタイミングで借り換えを行うことで、家計の負担軽減が可能になります。