住宅ローンを変動金利で借りたけど、やっぱり固定金利に変更したいと考える人も多いです。
最近は変動金利が上昇しはじめたので、このまま変動金利で借りていいのか悩みますよね。
この記事では、住宅ローンの金利を変動から固定に変更するメリットやタイミング、手順を解説します。
記事を読めば、最適な金利タイプの選び方がわかります。金利タイプを見直すと将来の返済計画が立てやすくなり、家計の安定につなげることが可能です。
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住宅ローンの金利タイプの概要
金利タイプはそれぞれ異なる特徴とメリットを持っており、選ぶ金利タイプは重要です。住宅ローンの金利タイプの概要について、以下の3点を解説します。
- 変動金利の特徴と仕組み
- 固定金利(全期間型)の特徴と仕組み
- 固定金利(期間選択型)の特徴と仕組み
ライフスタイルや将来の計画に合わせて、最適な金利タイプを選びましょう。
変動金利の特徴と仕組み
変動金利の特徴と仕組みは、以下のとおりです。金利が低下傾向にある場合、返済額が下がることが変動金利のメリットになります。
- 金利が市場金利に連動して変動する
- 金利が比較的低い
- 金利の見直しは通常半年ごとに行われる
- 返済額の上限が設定される場合もある
変動金利には金利上昇リスクも存在し、長期的に総返済額が増える可能性もあるので注意が必要です。返済額の上限が設定されている場合(5年ルール、125%ルール)もあり、急激な金利上昇から保護される仕組みがあります。
≫【注意】住宅ローンの5年ルールと125%ルールがないネット銀行はどこ?
変動金利を選ぶ際は、市場金利の動向を注視し、将来的な金利上昇リスクを考慮することが重要になります。
固定金利(全期間型)の特徴と仕組み
固定金利(全期間型)の特徴と仕組みは、以下のとおりです。金利上昇リスクを避けつつ、安定した返済計画を望む方にとって、固定金利(全期間型)はおすすめです。
- 金利が借入期間全体を通して一定である
- 月々の返済額が固定される
- 市場金利の変動に影響されない
- 長期的な返済計画が立てやすい
変動金利の場合、市場金利の変動により月々の返済額が増減することがありますが、固定金利(全期間型)では心配がありません。安定した収入がある方にとっては、毎月の支出が一定で予測しやすいので、家計管理が楽になります。ただ、金利は変動金利よりも高いことが多い点には注意が必要です。
固定金利(期間選択型)の特徴と仕組み
固定金利(期間選択型)の特徴と仕組みは、以下のとおりです。固定金利(期間選択型)は、金利上昇局面でも固定期間中は影響を受けません。
- 選択した期間中は、金利が固定される
- 金利の固定期間は、2年〜30年であることが多い
- 固定期間終了後、再度固定金利か変動金利を選択できる
- 固定期間が短いほど、金利が低めに設定されることが多い
- 返済額が固定期間中は、一定で計画が立てやすい
- 住宅ローンを借りる際に、将来の金利動向を予測しやすい
契約内容によっては、固定金利期間終了後の金利体系が決まっている場合があります。 固定期間終了後の金利が上昇するリスクがあり、リスクとリターンのバランスを取りたい人に適しています。
住宅ローンの金利を変動から固定に変更するメリット
住宅ローンの金利を変動から固定に変更するメリットは、以下のとおりです。
- 金利上昇リスクを回避する
- 将来の返済計画が立てやすくなる
- 家計が安定する
住宅ローンを見直すと、上記のメリットを受けられます。
金利上昇リスクを回避する
金利上昇リスクを回避するためには、変動金利から固定金利への変更が有効です。固定金利に変更することで、一定期間または全期間にわたって金利が固定されるため、金利上昇による返済額の増加を防げます。
返済額の増加を防げるため、家計の安定と返済計画の確実性を高めることが可能です。不確実な経済状況においては、固定金利にすることで、長期的な安心感が得られます。将来の金利上昇リスクを避けたい場合、変動金利から固定金利への変更がおすすめです。
将来の返済計画が立てやすくなる
金利を変動から固定に変更すると、返済額が一定になるため、将来の返済計画が立てやすくなります。
将来の返済計画が立てやすくなる理由は、以下のとおりです。
- 長期的な家計プランを立てやすい
- 収入に対する支出のバランスを管理しやすい
- 返済期間全体の総返済額を把握しやすい
- 将来の資金計画や貯蓄計画が立てやすくなる
固定金利なら、ボーナスが減少した場合でも、返済額が増える心配がありません。収支のバランスを維持しやすいです。
家計が安定する
家計を安定させるためには、住宅ローンの金利タイプを変動から固定への変更がおすすめです。固定金利にすることで毎月の返済額が一定になるため、支出の見通しが立てやすく、予算の管理が容易になります。
変動金利では市場の金利変動により返済額が変わり、予測不可能な支出増加が家計に大きな負担をかける場合があります。固定金利にすると、金利変動リスクを避けることが可能です。家計の安定感が向上することで、貯蓄計画を立てる際も安心して進められます。固定金利への変更は、精神的な負担を軽減できます。
住宅ローンの金利を変動から固定に変更するタイミング
住宅ローンの金利を変動から固定に変更するタイミングは、以下の5つです。
- 金利上昇の兆しがある
- 固定金利が低い
- 経済に不安を感じる
- ライフステージが変わる
- 条件の良い住宅ローンがある
住宅ローンは、家計に大きく影響します。住宅ローンの金利を変動から固定に変更するタイミングは重要です。
金利上昇の兆しがある
金利上昇の兆しは、以下のとおりです。
- 日本銀行が金利引き上げを示唆している
- インフレが加速している
- 債券市場で長期金利が上昇する
- 一部の銀行が住宅ローン金利を引き上げた
- 経済指標が好調である
- 国際経済情勢が不安定である
- 不動産市場の価格上昇が継続している
金利が上昇する前に、変動金利から固定金利に変更することをおすすめします。
固定金利が低い
固定金利が低い時期は、住宅ローンの金利を変動から固定に変更する絶好のタイミングです。固定金利が低い理由は、経済不安が大きな要因となっており、政府の金融政策の影響で低水準を維持しています。
経済が不安定な時期に固定金利を選ぶことで、将来の金利上昇リスクを回避できます。低金利の恩恵を受けると、安心して住宅ローンの返済を続けられ、長期的な視点で見ても非常に有利です。
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経済に不安を感じる
経済が不安定な時期に、住宅ローンの金利を変動から固定に変更することは、経済的不安を軽減する有効な方法です。景気の低迷や増税、社会保険料の上昇などが原因で、家計に負担がかかる場合があります。変動金利のままだと、金利の上昇によって返済額が増えるリスクを避けられません。
固定金利に変更しておくと、収入が不安定になっても返済額は変わらないため、家計の安定が図れます。他にも、株価の下落や金融市場の不安定さ、自然災害やパンデミックの影響など、予測が難しい要因が多くあります。変動金利よりも固定金利を選ぶと、将来的なリスクを最小限に抑えることが可能です。
ライフステージが変わる
ライフステージが変わると、家計や生活のニーズも大きく変わります。
ライフステージが変わる具体例は、以下のとおりです。
- 結婚して家族が増える
- 子供が生まれて教育費が必要になる
- 収入が増加または減少する
- 退職して年金生活に入る
- 転職やキャリアチェンジをする
- 子供が独立して家計の負担が減る
- 介護が必要になる家族が出てくる
- マイホームの購入や売却をする
ライフステージが変わる際には、住宅ローンの金利タイプも一緒に見直すことをおすすめします。
条件の良い住宅ローンがある
条件の良い住宅ローンを見つけた場合、金利を変動から固定に変更することをおすすめします。
条件の良い住宅ローンの具体例は、以下のとおりです。
- 低金利で固定金利型のプランが提供されている
- 手数料が安い、または無料のキャンペーンがある
- クレジットカードやポイント制度などの特典が付属している
- 借入額の上限が高い
- フレキシブルな返済プランが選べる
- 審査が迅速で、手続きが簡単である
- 期限内に借り換えを行うことで、追加の特典が受けられる
- 長期固定金利プランの選択肢が豊富である
- 契約者への保険や保障が充実している
- 顧客サポートが手厚い
条件の良い住宅ローンの選択ができると、変動金利から固定金利への変更が、より魅力的になります。
住宅ローンの金利タイプを変更する手順
住宅ローンの金利タイプを変更する手順について、以下の2点を解説します。
- 同じ金融機関で金利タイプを変更する
- 異なる金融機関の住宅ローンへ借り換える
住宅ローンの金利タイプを変更する手順を守ることで、スムーズに金利タイプの変更が可能です。
同じ金融機関で金利タイプを変更する
同じ金融機関で金利タイプを変更する場合、手続きが比較的簡単です。すでに金融機関と契約を結んでいるため、新たな契約を行う際の手間を軽減できます。金融機関によっては手数料が発生する場合があります。
固定金利への変更に際して、書類提出や契約内容の確認が求められる場合があります。手続きには多少の時間がかかることが多く、変更が完了するまでに一定の期間が必要になります。変更後の金利や条件について、事前に確認しましょう。金融機関の窓口や担当者に相談しながら進めると、スムーズに手続きができます。
金融機関が提供するシミュレーションツールを利用すると、金利変更後の返済計画を立てやすくなります。最適な金利タイプの選択が可能です。
異なる金融機関の住宅ローンへ借り換える
異なる金融機関の住宅ローンへ借り換える場合、低金利の住宅ローンを利用できる点が大きなメリットです。総返済額を大幅に削減できる可能性があります。金利の固定期間が終了しそうな場合や、現在の金利が低い時期に借り換えると効果的です。
借り換え手続きには手数料や諸費用が発生するため、事前に費用を見積もることが重要です。借り換えの際には、審査が新たに必要になります。審査基準は金融機関によって異なるため、自分の信用情報や収入状況に合った金融機関を選びましょう。
借り換え先の金融機関を選ぶ際には、複数の金融機関が提供する条件を比較検討することが重要です。金融機関によってはキャンペーンや特典が異なります。キャンペーンを活用すると、有利な条件で借り換えが可能です。
» 住宅ローン借り換えのメリット・デメリットと最適なタイミング
変動金利から固定金利へ変更する際の注意点
変動金利から固定金利へ変更する際の注意点は、以下のとおりです。
- 手数料や諸費用が必要になる
- 金利情勢の見極めが必要になる
- 住宅ローン控除の対象外になる
注意点を理解した上で慎重に検討すると、最適な金利タイプへ変更できます。
手数料や諸費用が必要になる
借り換えで変動金利から固定金利へ変更する際には、手数料や諸費用が発生します。費用を事前に理解しておくことが重要です。
変動金利から固定金利へ変更する際に発生する手数料や諸費用は、以下のとおりです。
- 金利タイプ変更手数料
- 事務手数料
- 新たな抵当権設定のための登記費用
- 保証会社への保証料
- 住宅ローン借り換え時の印紙税
費用を総合的に考慮すると、金利タイプ変更の際のコストを正確に把握でき、無理のない返済計画を立てられます。準備をしておくと、安心して金利タイプの変更を進めることが可能です。
金利情勢の見極めが必要になる
金利情勢を見極めるためには、いくつかの重要な指標や情報のチェックが欠かせません。
金利情勢の見極めのためにチェックすべき重要な指標や情報は、以下のとおりです。
- 世界経済の動向をチェックする
- 中央銀行の金利政策を確認する
- インフレ率を観察する
- 経済指標(GDP成長率、失業率など)を注視する
- 金融機関の金利予測を参考にする
世界経済が好調であれば、金利が上昇する可能性が高くなります。逆に、経済が低迷している時は金利が低くなることが多いです。金利情勢を見極めるためには、さまざまな要素を総合的に判断することが必要です。適切なタイミングで、住宅ローンの金利タイプを変更しましょう。
住宅ローン控除の対象外になる
借り換えや金利タイプの変更を行った際に、住宅ローン控除の対象外になる場合があります。
住宅ローン控除の対象外になる例は、以下のとおりです。
- 借り換えによって返済期間が10年未満になった場合
- 借り換え先のローンが控除の対象外である場合
- 借り換え時に年間所得が3,000万円を超えている場合
上記に注意すると、住宅ローン控除の対象外になることを避けられます。変動金利から固定金利への変更を、計画的に進めることが可能です。
» 住宅ローン借り換えのメリット・デメリットと最適なタイミング
住宅ローンの金利タイプ変更に関するよくある質問
住宅ローンの金利タイプ変更に関するよくある質問は、以下の2点です。
- 手数料はどのくらいかかる?
- 変更後の住宅ローン控除はどうなる?
よくある質問を理解しましょう。不安なく、住宅ローンの金利タイプの変更が行えます。
手数料はどのくらいかかる?
変動金利から固定金利へ変更する際には、さまざまな手数料が発生します。金利タイプの変更は、新たな契約の一環として取り扱われるためです。
変動金利から固定金利へ変更する際にかかる手数料は、以下のとおりです。
- 金利タイプ変更手数料: 数千円から数万円程度
- 契約書の印紙税: 1〜2万円程度
- 司法書士報酬: 数万円
- 借り換え手数料:借入額の2.2%(3,000万円を借り換えると66万円)
以上のように、金利タイプの変更にはさまざまな手数料がかかるため、事前に詳細を確認しましょう。予期せぬ費用の発生を予防できます。
変更後の住宅ローン控除はどうなる?
2024年から、控除率や控除期間、借入限度額などが大きく変更されました。政府が住宅購入の支援とともに、省エネ性能や耐震性能の向上を促進するためです。
住宅ローン控除で具体的に変更されたのは、以下の6点です。
- 控除率は0.7%に引き下げ
- 控除期間は最大13年に延長
- 控除対象の借入上限額が縮小
- 省エネ性能や耐震性能が一定以上の住宅に優遇措置
住宅ローン控除の恩恵を受けられる範囲が広がり、持続可能な住まいづくりの促進が期待されます。
参考:国土交通省「住宅ローン控除」
まとめ
住宅ローンの金利を変動から固定に変更することで、金利上昇リスクを回避し、将来の返済計画が立てやすくなります。
金利を変動から固定に変更するタイミングは以下のとおりです。
- 金利上昇の兆しがある
- 固定金利が低い
- 経済に不安を感じる
- ライフステージが変わる
- 条件の良い住宅ローンがある
手数料や諸費用、金利情勢の見極め、住宅ローン控除の対象外になる点に注意しましょう。適切な住宅ローンの選択は、家計の安定につながります。
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