
質問
住宅ローンを検討していますが、変動金利か固定金利のどちらがおすすめですか?
不動産営業をしていたときも、銀行で住宅ローン担当をしていたときもよく聞かれた質問です。
この質問に対する私の答えは
「その人の状況によるので、自分に合った金利タイプを選びましょう」です。
変動金利はネット銀行だと0.3%台(2021年4月現在)と、かなりの低水準で魅力的です。
ただ、金利面だけで変動金利を選択すると不測の事態で住宅ローンの支払いが出来なくなるなんてこともあり得ます。
この記事では、
変動金利と固定金利を選ぶ際のポイントを解説します。
それぞれの特徴を把握した上で、自分に合っている金利タイプを選びましょう。
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目次
変動金利と固定金利の特徴
住宅ローンには2種類の金利タイプがあります。
変動金利か固定金利かです。
固定金利は、金利を固定する期間に応じて更に2つに分類されます。
全期間固定型か固定期間選択型です。
住宅金融支援機構が発表している「住宅ローン利用者の実態調査」(2019年度)によると、
変動型59.0%、固定期間選択型26.7%、全期間固定型14.3%となっています。
約6割の人が変動金利を利用しているようです。
ただ、利用率が高いからといって変動金利の方がいいというわけではありません。
名前の通り、金利が変動するタイプなので、そのリスクをしっかりと把握しておく必要があります。
変動金利の特徴
メリット:低金利(0.3%台もある)
デメリット:半年ごとに金利の見直しがある(変動する)
金利の変動リスクがある分、低金利というのが大きな特徴です。
変動金利の場合、「5年ルールと125%ルール」の2つを覚えておきましょう。
5年ルール:金利が上がっても5年間は毎月支払金額が変わらない
125%ルール:5年経過後、毎月支払金額が上がっても、上限は直前の支払金額の125%まで
※いずれも「元利均等返済」(毎月の元本と利息の支払額合計を均等にする返済方法)の場合に適用される。
※多くの金融機関では「5年ルールと125%ルール」を採用しているが、一部採用していないところもある。
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この2つのルールによって、急激に支払金額が上がることはありません。
いわばセーフティーネットです。
固定金利の特徴
メリット:全期間もしくは一定期間、金利が変動しない
デメリット:変動金利よりも高金利
変動リスクがない代わりに、変動金利よりも高金利なのが特徴です。
・全期間固定型
住宅ローンの借入期間は最長で35年です。
借入期間中の金利がずーと変わらないのが、全期間固定金利の特徴です。
その代わり、変動金利や固定期間選択型よりも金利が高くなっています。
代表的なものが、フラット35です。
民間の金融機関でも、35年固定金利という商品があります。
・固定期間選択型
全期間固定型とは異なり、金利固定期間(5年、10年、15年など)が決まっているタイプです。
固定期間終了後は、変動金利か固定金利かを再度選択します。
注意点として、固定期間終了後は、変動・固定のどちらを選んでも、金利が上がる金融機関がほとんどです。
なので、こちらのタイプを選択する方は、最初の固定期間内を経過したら、全額繰り上げ返済したい方向けのプランになっています。
よくある例だと、住宅ローン控除の10年間だけ住宅ローンを借りて、それ以降は完済するケースです。
変動金利と固定金利を選ぶ3つのポイント
変動金利の固定金利の特徴をおさえた上で、どちらの金利タイプを選べばいいのでしょうか?
将来的に金利が上がっていくのであれば、固定金利を選んでいた方がいい。
将来的にも低金利が続けば、変動金利を選んだ方がいい。
ただ、今後の金利を予測することは不可能です。
住宅ローンは最長35年と長期に及ぶため、尚更金利の予測は困難です。
変動金利が得か、固定金利が得かは、住宅ローンを完済したときに始めてわかることです。
なので、損得で比較をすることは意味がないのです。
それでは、どのようなポイントで比較をしていけばいいのでしょうか?
結論は「自分は金利変動のリスクを取れるのか?」で判断をしましょう。
将来の金利を予測することに意味はなく、
金利の上昇に対応できる人は変動金利がおすすめです。
逆に金利が上昇したときに対応できない人は固定金利の方がおすすめです。
具体的にどういう人が「金利変動のリスクを取れるのか」をまとめました。
①繰り上げ返済をするための資金はあるか?
金利が上昇したときはどうしたらいいのでしょうか?
答えは「住宅ローンの残高を減らす」ことです。
つまり、「繰り上げ返済」をして、金利が上昇した分の利息を減らすことが対策になります。
金利が上昇してから固定金利に変更したり、借り換えをすることもできますが、タイミングが遅いことがほとんどです。
変動金利が上がっている局面では、先に固定金利の方が上がっています。
借り換えをしようとしても、他の銀行も軒並み金利が上がっているからです。
参考までに
借入金額4000万円、変動金利0.5%、借入期間35年、元利均等返済にて借入をした場合、
毎月103,834円の支払いになります。
金利が上昇しても同じ支払いを続けるための繰り上げ返済額がいくらかをまとめました。
残期間 | 30年 | 25年 | 20年 | 15年 |
残高 | 3,470万円 | 2927万円 | 2321万円 | 1800万円 |
0.5%→1.0% | 246万円 | 173万円 | 114万円 | 65万円 |
0.5%→1.5% | 465万円 | 331万円 | 221万円 | 128万円 |
残期間30年の時に、金利が0.5%→1.0%に上昇していた場合、同じ支払額を維持するためには246万円の繰り上げ返済が必要ということです。
金利変動のリスクを取れる人は、金利が上昇している局面で繰り上げ返済ができる人です。
逆に、繰り上げ返済ができる程の十分な貯金や資産がない方は固定金利の方がおすすめです。
②購入した物件を売却できるか?
もう一つ、住宅ローンの残高を減らす方法は、「購入した物件を売却する」ことです。
もちろんこれから住宅を購入するのに売却を考えている人は少ないでしょう。
ここで言いたいのは、最悪の場合に住宅を売却して住宅ローン完済ができるようにしておこう、ということです。
不動産営業をしていたときに、住宅ローン残債を返せる金額で売れない物件もありました。
そうならないためにも、手放そうと思ったら手放せる状態にしておきましょう。
具体的には下記の点に注意が必要です。
・資産価値のある物件を購入する
駅が遠いとか権利関係が複雑な物件はあまりおすすめしません。
・オーバーローンは避ける
オーバーローンは、物件金額を超えて諸費用(登記費用や事務手数料など)も含めて住宅ローンを組むことです。
物件の価値以上の借入をしているため、高値で売却する必要がでてきます。
金利変動リスクを取れる人は、最悪の場合に購入した物件を売却できる人です。
・資産価値に不安がある物件を購入する
・オーバーローンをする予定
・注文住宅などこだわりの家で手放したくない
こういった理由で、物件を売却できない人は固定金利がおすすめです。
③収入は安定しているか?
収入面も金利変動リスクを取れるかに関わってくる要素です。
例えば、公務員や上場企業などで、収入が安定していて、年功序列で収入も上がっていく、退職金も望めるなど、収入面が安定していると金利のリスクも取りやすくなります。
逆に、起業をしていて収入の浮き沈みがあったり、転職を考えていて今後のキャリアでリスクを取りたいと考えている人は、金利でのリスクは避けた方がいいでしょう。
収入が下がったタイミングで金利が上昇していると、住宅ローンの維持が難しくなります。
銀行の審査でも、公務員や上場企業が有利だったり、自営業や転職したての方が審査で厳しかったりするのは、上記の理由もあります。
また、年齢も金利リスクを取れるかの判断になります。
20~30代は、まだ収入面やキャリアなどに柔軟性があるため金利リスクは取りにくいです。
40代以降は、ある程度キャリアも積み上がり、将来の収入の見通しもついているため、安定感が望めるなら金利リスクも取りやすいです。
・自営業などで収入が不安定
・キャリアアップでリスクを取りたい
・20~30代でキャリアの見通しが立っていない
上記のように、収入面で不安がある方は固定金利がおすすめです。
あなたにおすすめの金利タイプはこれ!
「変動金利か固定金利のどちらがおすすめか」については、個人の状況による点が大きいということは理解いただけましたか?
大きな判断の軸としては、
・繰り上げ返済のための資金があるか
・購入した物件を売却できるか
・収入は安定しているか
これらの軸を判断できるようにセルフチェックチャートを作成しました。

まとめ 自分に合った金利プランを選ぼう
変動金利と固定金利の特徴と選ぶポイントについてまとめてみました。
それぞれの特徴を抑えた上で、自分にはどちらが合っているのかを検討しましょう。
住宅ローンは長期の返済になることから、損得よりも支払いを継続できるかが大事になってきます。
変動金利は低金利ですが、今後も同じ水準が続くのかは誰にもわかりません。
私たちにできることは、金利が変動したときにどういった選択が取れるかを考えておくことです。
自分に合った金利タイプが決まった人は、どこで住宅ローンを借りるのかを検討しましょう。
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住宅ローンは人生の中でも一番高い買い物の一つです。
金利タイプやどこの銀行で融資を受けるかで何百万円の差が出たり、予期せぬことで支払いが困難になる可能性もあります。
自分に合った住宅ローンを選んで、新しい生活に向けて準備をしていきましょう。
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